目を背けてはいけない問題に迫る -いじめ-生き地獄からの脱出

いじめ-生き地獄からの脱出 (ちゃおコミックス)

たまにはこういう漫画も紹介しようかと思います。

■社会問題

タイトルから一目でわかる内容『いじめ』。
現代社会の大きな問題の1つです。何が問題かって何が問題かがわかりにくいこと。
当人達だけではなく、彼等を取り巻く環境にも大きな問題があるのです。
武富健治先生の「鈴木先生」も結構エグい内容を題材としていてとても興味があったのですが、
この『いじめ』もかなりエグい内容となっています。
内容はというと、4つの短編集が収録されています。

・裏切りの放課後
・あやまちの行方
・消えない傷痕
・闇の声

タイトルだけ見てもなんとなく雰囲気がわかっていただけるかと思います。
脅迫・裏切り…そして学校裏サイト等、様々ないじめの原因が描写されていました。
今回はその中の1つ『裏切りの放課後』をピックアップしてみました。

■勉強というプレッシャー

主人公の女の子『麻美』は、とある塾に通っていました。
その塾の麻美が在籍するクラスの掟…それは、週に1度行われるテストで最下位をとった者は、
『ドレイ狩り』と称してみんなにいじめられるというもの。
塾の講師は見て見ぬふり。何故か。
このルールが存在することによって、誰もが最下位にならないように必死に勉強する。
そんなわけでこのクラスは、他のクラスよりとびぬけて成績がいいわけです。
脅迫するように子供に勉強させようとする親。成績をあげたという実績を作るためなら、
多少の問題(勿論子供にとっては大問題ですが)に目をつぶる塾講師。
この大人たちも立派ないじめの加害者の1人です。

■一番怖いのは孤立すること

子供達が一番恐れるのは集団の中で孤立することです。
いじめっ子(多数派) と いじめられっ子(少数派) に分かれてしまった時、
わざわざ少数派に回るようなことはしたくないはずです。
さて、麻美は恐れていたテストの順位最下位になってしまいます。

いじめ~生き地獄からの脱出~

裏切り
自分までいじめられたくないから…それが本音でしょう。
いじめによって麻美の精神はずたぼろに堕ちていく…誰も助けてはくれない。
自分がいじめられていることを告白した親でさえ助けてくれない。仕舞いには
「いじめられているあなたにも原因があるんじゃないの!?」とまで云われてしまいます。
こんな生き地獄はない。心の支えがない。生きたここちがしない。
もし同じ状況におかれたら死にたいと思う人もいるでしょう。
麻美は、こんな状況になった塾のみんなや親を憎みます。

「絶対に許さない」

彼女は、ずたぼろになった精神を復讐という力に変え猛勉強をするのです。
そして彼女は次のテストで1位をとります。最下位になったのは麻美を裏切った友達。
彼女は麻美に助けを乞いますが、麻美は今までされた仕打ちを絶対に許そうとはしませんでした。
それどころか麻美は率先していじめをするようになるのです。
そう…これがいじめの連鎖というものなのでしょう。
憎しみは憎しみしか生まない。復讐は新たな憎しみを生むのです。

■憎しみの連鎖を断ち切れ!

親の心子知らず。子の心親知らず。結局はそれでした。
自分の親と心を通じ合わせる事が出来た麻美は憎しみの塊だった自分から目を覚まします。
いじめられたことがある本人は、それがどれだけ辛いか知っているのにいじめられたことへの憎しみ
が新たないじめを生むことがある。
しかし、彼女はそれが間違っていると気づくのです。
憎しみの連鎖を断ち切るには自分が強くならないといけないと。

いじめ~生き地獄からの脱出~

いじめから生まれる(プラス要素的な)ものはない。マイナス要素ならいくらでもありますが。
そんなわけでエグい内容ではありますが、面白かったです。
なぜいじめはなくらないのか、新たないじめを生む原因は何なのか、なぜ子供はいじめをするのか、
いじめは子供達だけの問題じゃないのではないか等を暗に読者に語りかけてくる内容でした。
それにしてもこれがちゃおコミックとは…。

画像(C) 五十嵐かおる / 小学館

いじめ-生き地獄からの脱出 (ちゃおコミックス)
いじめ-生き地獄からの脱出 (ちゃおコミックス)五十嵐 かおる

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