とある看板娘の異文化コミュニケーション -異国迷路のクロワーゼ
たまには和服少女もいいものです。
そんなわけで買って来ましたよ!『異国迷路のクロワーゼ』
■日本から来た少女
舞台は19世紀後半のフランスのパリにある小さな鉄工芸店『アンセーニョ・ド・ロア』。
ひょんなことからそこで働くことになった日本から来た少女『ユネ』。
しかし、異国となれば文化・思想はもとより、礼儀・食事・言語などなど…違うわけです。
フランスの暮らしに最初は戸惑う日本人のユネの描かれ方がいいんですよ。
カルチャー・ショックとはこういうものなんですねぇ。
ユネがフランスという国の文化に戸惑うのは勿論ですが、
店の主人であるクロードも彼女の行動がなかなか理解困難であるんですよねぇ。
ここはフランス、ユネは少しずつでも慣れようと努力するわけです。
■挨拶
フランスでは、人と人との接し方も違うわけです。
特に急ぎの仕事もなかったので店番を任される事になったユネ。
ウィンドウ越しに商品を眺める婦人を見つけ元気に声を掛ける。
日本では、長崎一の看板娘だったユネ。
その笑顔と親身にお客に接する態度はまさにプロ!
こんな看板娘がいたら商品に全く興味がなくても私なら入ってしまいそうです!
しかし、ここは異国フランス!
話しかけられた婦人は、居心地が悪そうに目をそらし、そそくさ退散してしまう。
クロード曰く「お前がそんな笑顔で話しかけるからだ」。
更に「最初っから笑顔の奴なんて裏に何かある危険な奴だ」と言われてしまう。
このことはユネには衝撃でした。そればかりか、その後少し人間不信に陥る場面があります。
異文化交流はまだまだ難しいユネです。
■泥棒
店番を続けていたユネに事件が起こります。
小さな子供が店の商品をユネの目の前で掴んで走り去るのです。
ユネは小さな体で懸命に追いかけるのですが結局逃げられてしまいます。
それだけならよかったのです…。
無我夢中で走ってきたのでここがどこだか分かりません。
ただでさえ慣れない場所。似たような建物。店の形が同じように見えてしまうわけです。
とにかく戻ろうと右往左往していた時、ユネに話しかける人物がいました。
その人物は、笑顔で「お嬢さんお困りですか?」と云ったのです。
笑顔で云ったのです。
クロードの言葉が心の中で蘇って来るユネ。クロードは何て云っていた?
「最初っから笑顔の奴なんて裏に何かある危険な奴だ。気をつけろよ」
たしかにクロードはそういっていました。その言葉を思い出したユネは即座に逃げます。
わからない場所で見たこともない人達に囲まれ…そしてクロードの言葉…。
ユネが軽い人間不信に陥るのも無理はないですよねぇ。
そんな時、探しに来たクロードとなんとか合流することが出来たユネ。
ユネは安堵の表情をうかべますが、それは束の間のこと。
自分の不注意で店の商品を盗まれてしまった事を半泣きで謝ります。
どこまでも健気な少女なんですよ、ユネは!
そんな彼女にこのフランスという国は合わないのではないか。そう思う方も多いことでしょう。
でも!
親しい間からならその人を大切にするのがここの流儀なんですよ!
この国では確かに、知らない人への警戒心が強い。でも『一度友人と認めたなら一生大事にする』
それがこの国流の人付き合いというものなんですよねぇ。
画像(C) 武田日向 / 角川書店
異国迷路のクロワーゼ 1 (1) (角川コミックス ドラゴンJr. 111-2) | |
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