■１巻までのおさらい

この物語で最重要人物は２人。
主人公の『ジム』とその親友の『ルカ』だ。
いや…正確には元親友なのです。

その昔、ジムはルカと心臓を共にする契約をした。
その際ジムはルカに１００年間煉獄に閉じ込められてしまうという呪いをかけられてしまう。
だが、１０日間だけジムは現世に戻ることができる。
その１０日間にジムはルカから心臓を取り戻すチャンスを得る事が出来るのですが、
失敗したらまた１００年地獄が待っているというとても厳しい状況なのです。
さて、この２巻ではジムとルカが出会った頃のお話。過去編となってします。

■出会い

ジムは学校に通っている。
学校といっても普通に学問を学ぶ学校とは少し違います。
ここは魔法学校。
更に、この学校の生徒は両親がいなかったり行くあてがない子供達ばかりなのだ。

ルカは転入生としてこの学校に来ました。
強い魔力を持つルカでしたが、当初は両親を殺され自暴自棄になっている状態でした。
友達なんか要らないと、自分の周りを障気で囲い人を近づけさせようとしません。
そんな異質とも云えるルカに初めて接したのがジムでした。

ジム「友達なんかいらない？…上等だ。」

「なら俺はお前の敵になってやらぁ！」

と、思いっきり殴りつけます。
勿論、『敵になってやる』というのは方便です。
『友達がいらないなら敵としてお前に接してやる』という意味なのでしょう。
ひたすら障気を放ち、人を近づけさせなかったルカにジムという存在は眩しかった！
うーむ、これも男は拳を交えれば分かりえあえるの一種でしょうか？

■平和というものは簡単に崩れ落ちる

ルカがようやく学校に馴染んできた頃、屋上で居眠りしていたジムが偶然
怪しい服を着た５人組みを発見する。黒ローブを着込んだ自称悪い魔法使いだ。
彼らの狙いは不明だが、どうやら魔法使いを殺してまわっているらしい。
夜襲にあい学校の生徒や教師らが次々と殺されてゆく。
最近の少年漫画は人が簡単に死なないと云いますが、『ハンド×レッド』では
結構簡単に人が死んでいき、人の命のはかなさを感じさせられます。
戦争ってこういうもので、人ってこんな簡単に死んでいくんですねぇ。
その辺のリアリティにより読んでいるときの緊張感が増えて作中に惹きこまれます！

ルカの村を焼き払った魔法使い『ラッツ』と対面する３人。(ジム、ルカ、レイチェル)
ラッツが放つ火を水の魔法で防ごうとするレイチェルだったが、
あっさり無効化させられてしまいます。
これが実戦経験の差なんですねぇ。いくら知っていても使えないのでは意味がない。

３人寄れば文殊の知恵とは云いますが、
３人の力を合わせてラッツを倒す事に成功します。
全身が火で覆われ今にも死にそうなラッツを見て

ジム「おいルカ！もうこいつ動けないしいいだろ。早く土で火を消してやれ。死んじまうぞ」

殺し合いとはいえ、ジム達はまだ子供。
敵に情けをかける事がどれほど危険な事か知らないのでしょう。
ルカは控えめで心優しい少年で普通なら止めをわざわざ刺すようなことをしないでしょう。
しかし、

その瞳はとても冷たくて、残酷でした。
自分の両親や村人達を殺したラッツにし対して容赦は全くしない。
付けられた傷はいつかきっと復讐の種になる。そんな感じのルカでした。
彼が後にジムを裏切る事になる『心の闇』とでもいうものもこの時既に芽生え始めて
いたのかもしれませんねぇ。

さて学校に戻ってみればそこは学校ではなく、惨劇の跡でした。
殆どの生徒は殺されていて、唯一闘えていたのが教師のサンドラーでした。
５人のうち、２人はサンドラーが一瞬で仕留め、校長が決死のカウンターで１人を捕縛。
ジム達が１人倒したので残りは１人。
その１人である奇襲団のリーダーとサンドラーの戦いが始まろうとしていました。
３巻に続く…

画像(C) 倉田英之・星樹 / 一迅社

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