■初期設定

１巻の最初に登場人物紹介があるのは結構珍しいですね。

まず関係から紹介すると、アー坊の幼馴染である花ちゃんとのりっぺ。

花ちゃんを狙っている直木。

花ちゃんは女の子ながら中学野球部のエースピッチャーでアー坊は第二ピッチャー。

どこの高校に進学するかということで揺れ動く少年少女達の物語。

■アー坊の素質

アー坊は、有名私立高校ではなく普通の都立高である繁森高校に進学しようと考えていた。
強豪私立校ではなく、都立高校で甲子園を目指すのがアー坊の野望なのだ。
確かに、いきなり野球強豪私立に入れば周りから学ぶ事は多いし施設も整っている事でしょう。
だけど、それじゃあ面白くない。
元々そんなに強くない野球部を自分の力で強くし大会で勝ち進むというのは、
スポーツ漫画の王道であり魅力なんですよねぇ。

さて、繁森高校に入ることをほぼ決めていたアー坊だったが
真直高校の野球部監督からスカウトされることとなる。
彼はアー坊の中学野球部では埋らされていた両刀投げに目を付けてきたのでした。

アー坊は、左で投げると恐ろしくコントロールがいいのですが非常に遅い球になります。
一方右で投げると、豪速球が出るかわりにノーコンになってしまうのだ。
中学ではノーコンの右を使わせてもらえなかったのだが、真直高校に来れば
両刀投げとして練習させてもらえるのだという。
この誘いによりアー坊の心は揺れ動く。
更に追い討ちをかけるように、この後次々とアー坊の前に現れる高校野球部の誘い…。
アー坊はどこへ行くべきなのか悩む事になります。

■三角関係

幼馴染の３人組みで異性が１人混じっている場合、１人の異性を取り合って関係が崩れる…

ということが漫画ではよくありますよねぇ。

この作品も例外ではなく、アー坊に好意を抱いている花ちゃんとのりっぺ。

しかし今まで３人の関係を崩す行動は２人ともとっていなかったのですが、

花ちゃんをなんとしてでも彼女にしたい直木が

「アー坊が本当に好きなのはのりっぺだということを知っている」

という嘘をのりっぺに吹き込みます。

アー坊と同じ高校に行こうと思っている花ちゃんがこのままでは惨めなので

それを思いとどまらすように仕向けます。

直木…こいつはなかなかの策士ですよ！三角関係を利用して内部分裂を図るとは。

■嘘

直木にそそのかされたのりっぺは花ちゃんの家に行きます。
そして、直木から貰った誕生日プレゼントである、

携帯ストラップを「アー坊からもらったんだ！」と嘘を付きます。
幼馴染３人組みの間柄では、中学に入ってからはお互いの誕生日にプレゼントをあげるなんてことはやっていません。
それがここにきて、アー坊がのりっぺに誕生日プレゼントを贈ったという事実を突きつけられたら
プレゼントを貰ってない花ちゃんはそれがどういうことを意味するのか検討がつくでしょう。
勿論、「アー坊がのりっぺに誕生日プレゼントを贈った」というのはのりっぺがついた
真っ赤な嘘なのですが、この発言により花ちゃんの心中は穏やかではないでしょうね。

■選択

アー坊は、どこの高校へ進学するのか。
アー坊は、花ちゃんとのりっぺどっちが本当に好きなのか。
アー坊は、右手と左手どちらで投げるのか。
選択肢が多いというのも大変ですね！

画像(C) 高森夕次・松島幸太郎 / 秋田書店

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