いつの世も人は自分達とは違う者を迫害してきました。
それは、白人が黒人を迫害したように。ヒトラーがユダヤ人を迫害したように。
この物語は、遺伝子技術の産物…人造生命体として生きている人たちと人間のお話です。
彼等は亜人と呼ばれる人間が自分達の都合のいいように作り出した生命体です。
生み出された当初は奴隷として働かされていた彼等は奴隷制度がなくなった現在でも
人が当たり前にもっている権利も認められず、人にこき使われたりスラムに押し込まれたりする
生活をしていました。
人と亜人が仲良く暮らせる時代が来るのか!?
この物語は人種差別を乗り越えるために描かれているようで、いかにして人と亜人の溝を
埋めることが出来るかに注目していきたいと思います。
この漫画の主人公は、警視庁の下の派出所みたいなところで働く女の子です。
彼女は正義感が強く迫害される亜人達を救ってきました。
彼女の名前はカノン。そしてその正体は『まじりもの』。
つまり、人間と亜人のハーフです。
だからこそ、彼女は人間と亜人の溝をなくすべく日々努力しているのです。
もっとも人間でも亜人でもない彼女自身の幼少期は迫害されながらの生活でした。
同族が全くいないというのは、恐ろしいほどの孤独でしょう。
いくら迫害されているとはいえ亜人同士は同族で、
それなりにうまくやっていたのでしょう。
カノンのように周りに同族がいない孤独な幼少期はきっと悲しいものだったはずです。
周りに誰も頼れる人がいないってどれだけ苦痛か計り知れません。
そんな彼女も今では職場で仲間と一緒に世の中を平和にするべく戦っているのです。
亜人にのみ効果があると言われる麻薬『サクカの実』。
しかし警察はサクカの実が出回ろうが動かない。何故か。
なぜなら、サクカの実は人間には全く害がないものであるからです。
つまり、亜人がいくら苦しもうが死のうが知ったこっちゃないというわけなんです。
上層部の考えかたを変えないと、こういうものはなかなかうまくいかないですよねぇ。
しかもそれだけではないのです。人間と亜人…。
共通して価値を見出すものといえば、金です。金は人間を変えます。
驚くべき事に、サクカの実を流していた大元は亜人自身だったのです。
やはり、金というものは恐るべき存在であるのです。
ある時、カノンはスラム街にやってきました。
確かにこの場所は貧しいですが、
人間と亜人が分け隔てなく暮らしている場所であり、カノンが理想とする世界だったのです。
この漫画は、『人種差別』という重いテーマを題材としていますが、カノンの明るさと
彼女の周りの人間のドジさ加減で、暗い雰囲気を感じさせないんですよ。
勿論、シリアスな場面は多く出てきますがそこではこの物語のテーマに深く触れる場面で
とても興味深いものでした。
画像(C) 檜山 大輔 / スクウェア・エニックス
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